原子衝突セミナー
原子衝突学会では、学生や若手研究者を対象とした原子衝突セミナーを毎年春に開催しております。原子衝突セミナーでは原子衝突研究の基礎から最先端までを学ぶことができ、毎回多くの学生、若手研究者が参加し好評を得ています。 |
第23回原子衝突セミナー案内
行事委員会
日程
3月28日(月) | |
1限 12:30-14:00(90分) | 講義A |
2限 14:10-15:40(90分) | 講義A |
3限 15:50-16:50(60分) | 講義B |
4限 17:00-18:00(60分) | 講義B |
懇親会 |
3月29日(火) | |
1限 09:20-10:50(90分) | 講義A |
2限 11:00-12:30(90分) | 講義A |
昼食(12:30-13:30) | |
3限 13:30-14:30(60分) | 講義C |
4限 14:40-15:40(60分) | 講義C |
5限 15:50-16:50(60分) | 特別講演 |
※スケジュールは多少変更の可能性あり。
会場
立教大学 池袋キャンパス 8号館2階8202教室
東京都豊島区西池袋3-34-1
JR各線・東武東上線・西武池袋線・東京メトロ丸ノ内線/有楽町線/副都心線「池袋駅」西口より徒歩7分
アクセスマップhttp://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/direction/
キャンパスマップhttp://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campusmap/
※HP上では西口より「徒歩約7分」とありますが,10~15分見ておいた方が確実です.
主催
内容
主に原子衝突と関連領域の大学院生・若手研究者を対象とした大学院レベルの講義.意欲ある学部学生の参加も歓迎.講義は,基礎的・包括的な内容の講義A(90分授業4時限分)と,最先端の研究例を学習する講義B・C(60分各2時限分)からなる.参加者には講義ノートを配布.
講師
- 小池文博 先生 (上智大学)
- 中村信行 先生 (電気通信大学)
- 穂坂綱一 先生 (東京工業大学)
各講義の概要
- (講義A)
- 小池文博 先生 (上智大学)
講義題目「多体の系としての原子、そしてダイナミックス」
概要
原子の電子構造についての議論は,約1世紀前の物理学のフロンティアとしての量子力学の発展と共にあった.1929年には,ディラック(P.A.M.Dirac: Proc. Roy. Soc. (London), A123, 714 (1929) )が勝利宣言:“量子力学の一般理論は,今やほぼ完成し,・・・”をしている.独立粒子モデルに基づく理論はこの頃までに完成し広く採用されている.しかし原子内電子は実際には独立粒子から程遠い存在である.2電子以上の系は自動電離し,4電子以上の系はオージェ効果により電離することがある.電子間の相互作用により状態は変形しダイナミックスも変化する.このような効果は“電子相関効果”として理解されているが,多電子の系を理解する上で本質的な役割を果たす.
一般の大学の物理学の課程では,原子の構造は量子力学の講義の素材として水素原子が取り上げられる.原子種の大半を占める多電子原子について系統的に紹介されることは少ない.本講義はこれを補完する存在となることを目指す.
本講義では,原子が水素原子を除いて多体の系であることに視点を置いて,原子の電子構造の記述法や,動的過程の記述法について紹介する.様々な実験結果を参照しながら原子の動的過程に現れる電子相関の効果について考察する.束縛状態のみならず,連続状態を含む電子相関の効果についても考察する.
- (講義B)
- 穂坂綱一 先生 (東京工業大学)
講義題目「分子の光解離で生成した励起原子ペアの量子もつれ」
概要
量子もつれとは全体の波動関数が構成要素の波動関数の積では表せない量子力学に特有な状態であり,量子力学においては基本的な状態である.1994年に古典計算を大きく上回る速度で計算できる量子コンピュータのアルゴリズムが提案され,そのリソースとして広く注目を集めるようになった.光子に加え,最近では様々な物質系でも,もつれた状態が生成されるようになってきているが,私は分子の光解離を利用する従来の方法とは全く異なるアプローチで,量子もつれした原子ペアの生成法を開発している.光解離で生成するフラグメントのペアは,励起状態の対称性を反映し,内部状態に量子もつれの生成が期待される.しかし,H2分子から生成したH(2pm) + H(2pm’)原子ペアのもつれを実際に測ってみると,予測されたもつれ原子ペアとは異なる状態にあった.この不一致の原因はまだ未解決であり現在進行中の研究である.今回のセミナーでは,研究背景や手法,最近考えていること,研究の過程で遭遇したトラブルなどを紹介する.
- (講義C)
- 中村信行 先生 (電気通信大学)
講義題目「多価イオンの物理とその応用」
概要
「多価イオンは新しい原子」という触れ込みで重点領域研究「多価イオン原子物理学」が開始されたのは1993年,そこから数えても既に20年以上の歴史があるため,多価イオンは研究対象として決して「新しい」と言うことは出来ないが,「新しい原子」としての興味や魅力は未だ尽きない.多価イオン研究はプラズマ物理の一部として始まったと言ってよいと思うが,今なおその分野に貢献しつつも,原子物理学,原子衝突学的に新しい話題を提供してきた.さらに最近では「物理定数は真に定数か」という物理学のより根幹に貢献するものとしてにわかに注目されている.そこで,多価イオン研究の進展を再確認し,新たな展開を展望するということは,今正に時宜を得ていると言えるとして,「しょうとつ」第12巻第5号から「多価イオンの物理とその応用:これまでの進展と今後の展開」と題するシリーズ記事が連載されている.そこからいくつかのトピックをピックアップし補足を加えながら多価イオンの物理を紹介したい.
- (特別講演)
- Sokell Emma 先生 (University College Dublin, アイルランド)
講演題目「Coincidence photoelectron measurements following 2p photoionization in Mg」
概要
The present work focuses on coincidence photoelectron spectroscopy of the 2p3/2 photoelectron and L3-M1M1 Auger electron in Mg, after angle and energy selection, designed to test the two-step model of Auger decay. The experiments were performed with the multi-coincidence end-station of the Gas Phase beamline at Elettra. This set-up contains ten hemispherical analyzers mounted on two independently rotatable frames. Three of the analyzers, in the plane of the linearly polarized incident light, direction ε, were fixed at 0, 30 and 60° with respect to ε, whilst the other seven, also mounted at 30° intervals in the same plane, were rotated in the plane perpendicular to the direction of propagation of the incident beam. This arrangement allows three triple differential cross-section (TDCS) data sets to be obtained simultaneously.
Sets of three TDCS measurements were made at a range of photon energies. One made at 80 eV, allowed a direct comparison with previous measurements. A simultaneous fit of the three TDCS indicates agreement with the predictions of the two-step model (V. Schmidt 1994 Nucl. Instrum. Meth. in Phys. B. 87 241) and yields information on the dipole matrix elements at 80 eV. A similar fitting procedure carried out at other photon energies, not only provides information on the dipole matrix elements, which can be compared with theory, but shows that the two-step predictions become less valid as the photon energy is reduced and final state interactions, such as post-collision interactions, become significant.
懇親会
1日目講義終了後.12号館地下1階第1・第2会議室.会費は一般5,000円,学生2,000円.当日現金にてお支払いください.
参加登録費
学会会員 | 学会非会員 | |
---|---|---|
学生 | 1,000円 | 3,000円 |
その他 | 3,000円 | 5,000円 |
学会会員 | 学会非会員 | |
---|---|---|
学生 | 2,000円 | 4,000円 |
その他 | 4,000円 | 6,000円 |
※遠方からの学生会員および当日入会予定者(但し,事前連絡済み)には若干の旅費を補助.詳細は事前に問合せのこと.
事前参加登録要領
下の[セミナー事前参加登録手続きはこちら]ボタンをクリックし,表示の指示に従って事前参加登録をお願いします.懇親会参加希望の有無についても同画面からお願いします.出来るだけ事前参加登録をお願いいたします.事前参加登録費のお振込み方法については,登録後に届く受理通知メールをご覧ください.潤滑な準備・運営に何卒ご協力下さい.
※現在非会員の方には,事前に入会手続きをしていただきますと,会員参加費となります.これを機に是非ご入会ください.(会費は月割りです.)
入会のお申込みはこちら
[セミナー事前参加登録手続きはこちら](2/4受付開始予定)
事前参加登録締切:3月4日(金)
・参加申し込みは締め切りました
問合せ先
加藤太治
〒509-5292 岐阜県土岐市下石町322-6
核融合科学研究所 ヘリカル研究部 核融合システム研究系 原子分子過程研究部門
TEL: 0572-58-2260
E-mail: acr-event@@kokusaibunken.jp
(“@@”を“@”にしてお使いください)
以上
行事委員会
- 加藤太治(核融合研、委員長)
- 木野康志(東北大)
- 坂上裕之(核融合研)
- 佐々木明(JAEA)
- 田沼 肇(首都大)
- 村上 泉(核融合研)
- 平山孝人(立教大、現地世話人)